自動販売機の前でジュースを選ぶ時間は無駄という話

人間は悩むことが幾千も存在す

それはなにも、今後の人生に深く影響を与える悩みだけではない。120円を投入した自動販売機を眼前に、コカ・コーラのボタンを押すべきか、オランジーナのボタンを押すべきか、といったような、小なるお悩みに我々は多くのエネルギーを費やしている。

我々は、色々な選択肢において、無意識にどちらが正しいか、どちらが能率的かを考える。その小さな思考を毎日繰り返していると、莫大なエネルギーを使用していることに気付くのだ。

例えば、ある暑い日において、炭酸好きなAさんたるは、自動販売機を前にどの缶ジュースを飲もうか迷っている。彼はその後、牛丼屋の券売機を前にして並盛りにするべきか大盛りにするべきかを考えている。Aさんは、このような調子でさまざまな局面において、どっち選んでも今後の人生になんら影響がないであろう小さなことに、それなりのエネルギーを利用して思考を展開している。

些細なことやもしれぬが、エネルギーの無駄遣いも、塵も積もればなんとやらである。

巨大匿名掲示板2chの創設者であるひろゆき氏は、全ての斯様な小さな選択肢に対して、あらかじめあれこれ悩まないために、「この時はこうする」と決めているそうだ。

選択肢を無意識に減らす生活をしています。…だから僕は「こういうときはこうしておこう」とルールを先に決めます。それで実際に「これ、違うな」と思ったら、その都度見直してルールを変えます。

(引用:無敵の思考 —誰でも得する人になれるコスパ最強のルール21)

何と無く我輩も「小さなエネルギーの無駄遣い」に敏感な人間であったのだが、面倒であるので確とルールを決めたことがない。んわけであるから、小さなエネルギーを無駄にしていると分かりつつも、エネルギーの無駄遣いはなくならないのだ。

未だに自動販売機の前に立つと、何を飲みたいのかと深く悩みこむ。また、ペッパーランチでペッパーライスを食うと決めておっても、入店しメニューを渡されてからすぐに「やっぱりハンバーグ定食にしようかしらん」という浮気心が頭を掠めて思考リソースを無駄に費やしてしまう。

これでは無駄遣いとわかりつつも、誰もいない部屋でエアコンをつけっぱなしにしているのと同等の無益なる行為ではあるまいか。

つうことなので、我輩もかなり詳細なルールを決めることにした。

ワガクズ選択ルール

(1) 一般に、二者択一の選択を迫られた際、その選択肢が「成功する可能性は低いが、大きな利益が得られる」選択肢と「成功する可能性は高いが、小さな利益しか得られない」選択肢であった場合、前者を選択する

我輩はサラリイマンとして生きるつもりは一毫もない。故に、そもそも人生の生き方自体が、ハイリスクハイリターン思考である。したがって、大小の選択肢の基準は、ハイリスクハイリターンを拠り所にするのが妥当ではないかと思われる。

(2) 飲食の選択については、その日に食べたいと一番最初に思い浮かんだものを必ず注文・購入し、気が変わった場合は別日で食すとする。基本的に飲み物はコーラ又はコーヒーを注文・購入し、食事の際は水を飲む。

くだらないことかもしれないが、これはかなり大事なことだ。というのも、食事は毎日訪れ、毎日のように我々人間を悩ませる。先に行動規範を決めておくと、非常に楽である。マックでセットを頼んだ時、「お飲み物はいかがなさいますか?」との質問に我輩は何度も悩んできた。いつも悩んだ挙句、「んじゃぁ、コーラで」と言っている気がする。

(3) 行動の選択肢については、想像通りの状況である場合は、一番最初に思いついた行動を行うが、状況が想像と異なっている場合は臨機応変に対応せねばならない。

行動をルール付けて制約することはかなりむつかしい。というのも、状況たるものは、信じられない勢いで変化してゆくため、意固地にルール通り行動したってうまくいかない。つーことなので、臨機応変という言葉に逃げてみたが、状況を細分化して詳細にルールを作り上げればなんとかなるやもしれん。そこはまあ、おいおいということで。